海外MBA留学を目指しているみなさん、下記のような悩みを持っていませんか?
- 海外MBAスクール出願書類の中で最も重要なエッセイ、うまく書けるか心配。。。
- エッセイを書く際、どんなところに気をつければいいのかを知りたい
- 英文エッセイを初めて書くので、書き方ガイドやテンプレートを知りたい
この記事を読めば、海外MBAスクール出願に必要なエッセイの基本が理解できるだけでなく、初めてエッセイを書く際の基本方針、書き方のポイントやテンプレートが明確になります。
なぜなら、自分がエッセイを準備した経験とMBAカウンセラーからのアドバイスをもとに、英文エッセイを初めて書く人が悩むポイントを具体的に解説しているからです。
記事の後半では、エッセイを書くにあたって非常に重要な考え方である『エッセイの5段落構成(START手法)』を私の実際のエッセイを使って説明しています。最後にトップ校に合格した実際のエッセイ事例集も紹介しますので、ぜひ参考にして下さい!
エッセイの役割とは?
エッセイの役割とは、あなたのプロフェッショナルスキルや知識・経験、あなたのMBA後のキャリアにおけるビジョンをスクールのアドミッションに伝えるためのものです。
したがって、エッセイはMBA受験における最も重要な選考書類と言っても過言ではありません。ネタ出しから戦略立案、ドラフト、推敲までしっかり時間をかけてエッセイを仕上げることで、MBA候補生としてのあなたの魅力をアドミッションに十分アピールすることができます。
エッセイではレジュメや成績表、テストスコアでは伝えることのできないあなたの職歴・学歴の経験を伝えることが重要です。これまでの自分の経験を内省し、詳細なストーリーテリングであなたの情熱、個性、情熱、強みや弱みを恐れずに表現しましょう。
MBA受験でエッセイはどのくらい重要?
MBA入学審査の項目は大きく分けて2つあります。定量項目(TOEFL、GMAT、GPA)と定性項目(レジュメ、エッセイ、インタビュー、推薦状)です。このうち定量項目について、世界のトップスクールと言われるMBA名門校のテストスコア競争率は年々過熱しています。つまり、志願者をテストスコアで評価し、差別化することはより困難になってきています。
そこでMBA志願者の個性や強み、バックグラウンドなどの『独創性』で差別化するために重要なのが定性項目です。その中でも『エッセイ』が最も志願者の独創性を見出しやすいため、ますます重要性が増しているのです。事実、トップスクールではTOEFLやGMATでどれだけ満点に近い高得点を取っても、エッセイなどの重要書類でインパクトが弱いと簡単に落とされてしまいます。
参考までに、AGOSが出している出願結果参考データを確認してみましょう。(無料会員登録すれば誰でもデータをみることができます)
アゴス・ジャパン公式サイトより引用
HBSやWartonなどのトップスクールではTOEFL112~114点、GMAT700点越えでも不合格になりえます。MBAではそれほど定性項目、とりわけエッセイの重要性が問われているのです。
エッセイは早めの準備が決め手です。日本人はエッセイを書くことに慣れてない方が大半なので、必ずプロのエッセイカウンセラーと相談をしながら進めましょう。
いきなりネイティブのカウンセラーと話すのは自信がない、まずは日本語でエッセイの内容や構成を整理したいという方向けに、MBAエッセイ準備サポートサービスを始めました。興味のある方は下記の記事をご参照ください。
MBAエッセイで問われる4つの内容
エッセイは各ビジネススクールによって様々な質問が出題されます。ここで、エッセイを書く上で最も重要なのが『出題者の意図』を理解することです。(これを”Question behind the question”とよく言います。)実はMBAエッセイで問われる内容は、基本的に以下の4つに集約することができます。
① これまでの経験と成果(Your Strength・Your Personality)
② Short term / Long term Goalとその理由(Your vision)
③ Why this school?(Your Strength・Your Personality)
④ Why now?(Your vision)
ビジネススクールは様々な角度からエッセイの質問を出題してきますが、出題者の意図は常にシンプルで、上記に挙げたことを知りたいのです。
以下、順に解説していきます。
① これまでの経験と成果(Your Strength・Your Personality)
エッセイで問われる内容の1つ目として、これまでの職務上の経験、成果、リーダーシップを発揮した経験などに関する質問です。
この内容が問われた場合、後に紹介するSTART手法(5ステップ)でストーリーを書いていくと良いでしょう。ストーリーを語る際まずは『状況説明』と『あなたのタスク』をイントロダクションとして書きます。次に本題の『あなたのアクション』と『結果』を書きます。最後に結論として、『一連のアクションと結果から学んだこと』を語ります。このフォーマットに沿うことで、あなたの個性と強みを強調できるエッセイになります。
この記事の後半で私のエッセイを例に具体例を解説していますので、ぜひ参考にして下さい。
② Short term / Long term Goalとその理由(Your vision)
エッセイで問われる内容の2つ目は、あなたの短期的・長期的なキャリアゴールとその理由です。この質問で最も重要なのは、下記の図のように、あなたの過去の経歴とMBAで得たいスキル、そして将来のキャリアプランが一直線上に繋がることです。
- あなたはこれまでの経歴で『何』をやってきて、『なぜ』それを選んだのか?
- 将来は『何』を目指していて、それは『なぜ』なのか?
- 将来のゴールを達成するために、MBAでは『何』を学びたいのか?
このように、『What』『Why』を明確にしてアドミッションにあなたのビジョンを示すことが重要です。
私がこの問いに対するエッセイを書き始めた際、当時英語でエッセイを書くことが初めてだった私がネイティブカウンセラーから最初に言われたアドバイスを紹介します。
“Presently, this story feels like it is written for a Japanese audience, as it doesn’t follow western-style logic. In western logic, you would usually start with the answer then quickly jump into the big picture context.”
つまり、最初に質問に対する答えを簡潔に書き、その後、全体像(上記の図で示した過去→MBA→将来のビジョン)を語るべきというアドバイスでした。
この質問に対する私のエッセイは以下の記事で紹介していますので、ぜひ参考にして下さいね。
③ Why this school?(Your Strength・Your Personality)
3つ目の質問は、『なぜ他のビジネススクールではなく、うちに入学したいのか?』です。こちらはエッセイだけでなく、インタビュー対策でも必ず準備しておくべき質問です。
私はMBA受験を目指されている方とコーヒーチャットをする機会が良くあるのですが、この質問に対する回答が十分でないと思うことが多いです。なぜかと言うと、『Why this school?』の質問に答えるためにはスクール調査をおこなうことが必要だからです。私も受験生時代はそうだったのですが、スコアメイクに時間を取られてしまい、スクール調査は後回しになってしまいがちです。しかも、当時はスクール調査のための情報もあまり知らず、MBA受験の後半になってスクール調査に便利なウェブサイトやリソースを知りました。正直『もっと早く知りたかった!』と思いました。
『Why this school?』の質問に答えるためのアプローチとスクール調査の方法は、以下の記事で詳細を解説しましたので、ぜひご参照ください。
④ Why now?(Your vision)
MBAエッセイで問われる質問の最後は『Why now?』です。1年後でも3年後でもなく、あなたはなぜ『今』MBAが必要なのかを問われることがあります。
この場合、更なるステップアップのために体系的な学びが必要なタイミングに来た、ということをロジカルにストーリー仕立てで語る必要があります。同様に、キャリアチェンジを図るため、自分の目指すキャリアゴールに到達するにはファイナンスやマーケティングの知識が必要だと述べることで、質問に対する回答を導くこともできます。
エッセイの書き方ガイド(5ステップ – START手法)
ここからは具体的にエッセイの書き方を解説します。まずは以下の記事を参考にして、『エッセイを書く前の心構え』と『準備プロセス』を理解しましょう。
エッセイの準備プロセスが理解出来たら、先に解説した『MBAエッセイで問われる4つの内容』のうち1つ目の『これまでの経験・成果』を例題にして、5段落構成(5ステップ)で書いていきましょう。具体的には以下のステップになります。
ステップ①:状況説明(Situation)
ステップ②:あなたのタスク(Task)
ステップ③:あなたの起こしたアクション(Action)
ステップ④:結果(Result)
ステップ⑤:一連のアクションと結果から学んだこと(Take away)
この5ステップを『START手法』と言います。Situation、Task、Action、Result、Take awayの頭文字を取ったものです。それでは以下のエッセイ例題を『START手法』を用いて回答してみましょう。
例題:Describe a leadership experience and how you made a positive and lasting impact.
応募するビジネススクールによって問われ方は異なりますが、MBAエッセイで必ず問われると言ってもよい質問です。具体的エピソードを盛り込む際は上記の5段落構成が良いとされます。もちろん、必要に応じて構成を変えることもありますが、まずは基本の型を身につけることが重要です。テンプレートの例としては以下になります。
① 〇〇プロジェクトにおいて、私は□□として参画しました(エピソードの状況説明)
② 私のタスクは▲▲業務で◆◆することが求められました。
③ プロジェクトの中で■■のような課題があり、私は▽▽のアクションを起こしました。
④ 結果、◇◇という成果に繋がりました。
⑤ 私はこの一連の経験を通して、●●を学びました。
上記のロジックに沿うようにエッセイを書くと、具体的かつ明快な論理展開でエピソードを伝えることができます。これに加えて、実際にエッセイを書く際のポイントとしては以下になります。
- 読み手に情景が浮かぶように、なるべく具体的なエピソードを盛り込む
- シンプルで明快な文章を心掛ける
- メインメッセージはパラグラフの最初で語る
- 単に経験をリストアップするのではなく、あなただけの ”オンリーワン” の経験として語る
- ストーリーの中であなたの情熱や個性を伝える
これらの点に気を付けてエッセイを書いていきましょう。
MBAエッセイのサンプルを公開
ここからは英文エッセイを書くことが初めての方向けに、私が実際に書いたエッセイをサンプルとして紹介します。上記で解説した5段落構成(START手法)にしていますので、『エッセイの論理構造』や『書き方のイメージ』、『具体的エピソードの入れ込み方』など、ぜひ参考にして下さい。
手前味噌になりますが、カウンセラーからは『私のエッセイと推薦状だけで評価するなら、HBSでもWhartonでも受かるよ』とお墨付きをもらいましたので、それなりのクオリティはあるのかなと思います。
なお、「英語でエッセイを書くのが初めて」、「ネイティブカウンセラーに自分のキャリアや考えをきちんと伝えられるか不安」「英語で書き始める前に、日本語でエッセイのネタ出しや考えを整理したい」という方向けに、MBAエッセイ準備サポートサービスを開始しました!
興味のある方は下記で詳しく内容を紹介していますのでご確認ください。
MBAエッセイサンプル公開(日本語版)
Question:
Describe a leadership experience and how you made a positive and lasting impact.
① 状況説明(Situation)
●●(会社名)は、2016年に海外販売会社の品切率、および偏在の多さにより、特にアジアの販売会社でお客さまに商品をタイムリーに提供できていないことが喫緊の課題でした。私は、当社が実施した最大規模のサプライチェーンプロジェクトの1つに参画しました。このプロジェクトでは、複数のロケーションに跨りながら、多部門と協力して推進することがすることが不可欠でした。
② あなたのタスク(Task)
このグローバルサプライチェーンプロジェクトにおいて、私はアジア子会社における新しい需給計画システムの導入をリードしました。この需給計画システムは、過去の販売実績に基づいて売上を自動で予測することができます。 当プロジェクトにおける私の具体的なタスクは、4つの重要なアジア市場である中国、台湾、韓国、香港において販売実績を改善することでした。 慎重に分析した結果、売上向上に繋げるためには売上予測の精度向上が必須であることが分かり、これに注力することにしました。
③ あなたの起こしたアクション(Action)
しかしながら、台湾の販売会社の リーダーである Zhong 氏は、このプロジェクトによってもたらされる変化に懸念を抱いていました。特に、彼のチームに余計なワークロードが加わることを心配していました。Zhong氏は台湾市場について詳しい知識を持っていたので、彼の協力は不可欠であると説得を試みました。しかし、彼は忙しいと抗議し、プロジェクトミーティングへの参加を拒否しました。 私はこのとき、台湾チームのモチベーションを高めるため、彼が気づいていない本質的な問題を浮き彫りにする必要があることに気づきました。
この状況を打破するため、私は彼の同僚だけでなく、彼の上司にもインタビューをおこないました。その結果、彼が在庫レポートを手動で作成および編集するために多くの時間を費やしていることを突き止めました。 そして私は、新システムにレポート機能を含めることを解決策として彼に提案したのです。私が新システムに搭載される自動分析機能のデモを見せると、彼は非常に感銘を受け、プロジェクトにコミットすることに同意してくれました。
④ 結果(Result)
このデモンストレーションの後、Zhong氏の行動は変わりました。 彼は、このプロジェクトによってもたらされるベネフィットを理解し、積極的に議論に参加するようになりました。 彼の協力もあり、私はシステムのトライアルを4ヶ月で完了することに成功し、他の3つのアジア販売会社にも新システムを同時展開することができました。 結果、売上予測の精度が30%向上し、アフィリエイトの品切れ率が17%改善しました。
⑤ 一連のアクションと結果から学んだこと(Take away)
私はこのプロジェクトを通して、チームメンバーのモチベーションを理解することが重要であり、交渉事では自身の仮説を立て、検証をおこなうことが非常に有益であることを学びました。また、包括的な解決策を提示することで他者を説得するスキルも磨かれました。 そして、真のリーダーとは、常にチームとコミュニケーションを取り、本質的課題に対して現実的な解決策を提示できる人であることを理解しました。
MBAエッセイサンプル公開(英語版)
① 状況説明(Situation)
●● company has a slow-moving inventory and a high out-of-stock rate in 2016. As a result, products don’t reach customers in a timely manner, especially for Asian countries. I participated in one of the largest scale supply chain projects our company undertook, for which it was critical to adapt to multiple locations and functions.
② あなたのタスク(Task)
In the global supply chain project, I led implementation of new Demand and Supply Planning System at Asian subsidiaries. It automatically forecasts sales plan based on historical trends. In this project, my specific role was to improve sales results in four important Asian markets: China, Taiwan, Korea and Hong Kong. After a careful analysis, I chose to focus on the improvement of sales forecast accuracy, as this would enhance sales.
③ あなたの起こしたアクション(Action)
However, a leader at one of our Taiwanese affiliates, Mr. Zhong, had concerns about changes brought about by this project. In particular, he worried his team would struggle with the extra workload. I tried to reassure him, explaining that his cooperation was crucial because he had the greatest knowledge of the Taiwanese market. However, he protested and refused to attend the project meeting, saying he was busy. I realized that I had to highlight intrinsic issues he hadn’t recognized and bolster the motivation of the Taiwanese team members.
To resolve this situation, I interviewed not only his colleagues, but also his manager. I found that he spent much of his time manually writing and editing an inventory turnover report. I came up with a solution: include the report in the new system. He was impressed when I demonstrated how the system could automatically analyze turnover data, and agreed to commit to the project.
④ 結果(Result)
After this demonstration, Mr. Zhong’s behavior changed. He understood how the changes would benefit him and became proactively involved in the discussion. Thanks to his participation, I succeeded in completing system trials within four months and simultaneously implemented the new system at three other Asian affiliates. As a result, I achieved a 30% increase in sales forecast accuracy, and improved the affiliates’ out-of-stock rate by 17%
⑤ 一連のアクションと結果から学んだこと(Take away)
Through this project I learned that understanding the motivation of team members is essential, and that negotiations greatly benefit from an understanding of one’s own assumptions. I also developed an ability to persuade others and present comprehensive solutions. I saw that a principled leader communicates constantly with their team, identifying the root cause of problems and proposing practical solutions.
エッセイの事例を紹介
英語で情報収集をすると、日本語だけで検索するよりもはるかに多くのリソースを活用することができます。それはMBAのエッセイについても同様です。ここでは、アメリカMBAトップスクール合格者のエッセイを無料で読めるサイトを紹介します。
ARINGO.comより引用
このサイトでは、ビジネススクールごとに過去のエッセイ課題と合格者のエッセイを読むことができます。全て無料です!各スクールのアドミッションが、どのような候補者を求めているのかを知るのに良いリソースとなるでしょう。
MBA留学:エッセイの書き方ガイド5ステップとサンプルを公開!まとめ
初めてMBAエッセイを書く際の基本方針、書き方ガイドを解説してきましたがいかがでしたでしょうか?
改めてエッセイの基本である5段落構成をまとめると、以下になります。
ステップ①:状況説明
ステップ②:あなたのタスク
ステップ③:あなたの起こしたアクション
ステップ④:結果
ステップ⑤:一連のアクションと結果から学んだこと
エッセイの準備ができたら、次は推薦状の準備も始めましょう!MBA推薦状の準備プロセスについては以下の記事でご確認ください!
MBA留学:推薦状の準備プロセスと私の推薦状を公開
MBA留学:推薦状の書き方ガイドとテンプレートを紹介!
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