MBA留学:推薦状の準備プロセスとカウンセラーお墨付きの私の推薦状を公開

推薦状の準備プロセス 海外MBA

海外MBA留学を目指しているみなさん、下記のような悩みを持っていませんか?

  • MBA留学を考えているが、推薦状の準備って何から始めるの?
  • 推薦状依頼のポイントや、準備するまでの具体的なステップを知りたい
  • 推薦状を書いたことがない人にお願いするので、どのように書いてもらえば良いのかイメージを掴みたい

この記事を読めば、推薦状の基本が理解できるだけでなく、推薦状を準備するまでの具体的なプロセスが明確になります。

なぜなら、自分が推薦状を準備した経験とMBAカウンセラーからのアドバイスをもとに、具体的なステップを解説しているからです。

推薦状を書いたことのない上司に依頼するときのために、私の推薦状も公開しますのでぜひ参考にして下さい!

推薦状はなぜ必要?

推薦状はなぜ必要?

海外のビジネススクール(MBA)入学審査の項目として、大きく分けると『定量』と『定性』の2つがあります。

定量項目はTOEFL, GMAT, GPAの3つです。一方で、定性項目はレジュメ、エッセイ、インタビュー、推薦状の4つになります。この定性項目の中で、推薦状の役割は『信頼性(Credibility)』を評価することです。なぜなら、出願書類の中で唯一『他人』に書いてもらう書類だからです。

したがって、自分の書くレジュメやエッセイでアピールしたいポイントと推薦状に書かれている内容はある程度整合性が取れていることが重要になります。

推薦状は他人に書いてもらうため、内容は完全にコントロールはできませんが、書いてもらいたい内容を推薦者と事前に打ち合わせした上で書いてもらうと良いです。

推薦状の準備プロセス

推薦状の準備プロセス

具体的な推薦状の準備プロセスは3ステップになります。基本的には出願するタイミングの3ヶ月前から動き出すのが良いでしょう。(理由は後述します。)

① 誰に頼むかを決める(Who)
② いつ頼むかを決める(When)
③ どのように頼むかを決める(How)

順に解説していきます。

①誰に頼むかを決める (Who)

基本的にビジネススクールからは2通の推薦状(場合によっては3通)を要求されます。
1通は直属の上司にお願いするのが望ましいでしょう。これは、自分の日常の業務を最もよく知っている、という前提があるからです。

推薦者の肩書は重要なの?という質問がよくありますが、あまり気にする必要はありません。それよりも、自分の日常業務をきちんと理解していて、『具体的なエピソードを書いてもらえるか?』の方が重要です。

もう1通は直属でない上司や、前職の上司、大学の恩師などにお願いすることが多いです。(私費留学で直属の上司にお願いしにくい人はよくこの方法を取っています)

私の場合は社費留学でしたので、当時の直属の上司と、更にその上の上司にお願いしました。

②いつ頼むかを決める (When)

基本的に忙しい人に推薦状をお願いするので、出願時期の2か月前には頼んでおいた方が良いでしょう。

推薦状は受験するスクールによって質問が異なります。したがって、受験するスクールが決まらないとお願いする推薦状の内容も決まりません。スクール調査、および推薦状に書いてもらいたい内容を整理する期間を約1ヶ月と考えると、実質的には出願タイミングの3ヶ月前から動き出すのが良いでしょう。

1stラウンドで出願する場合、おそらく最も早いのはHBSの9月上旬出願になるため、動き出すタイミングは6月頃からが望ましいです。

奨学金を申し込む予定の私費留学生はここに注意

ちなみに、MBA私費留学を考えられている方は奨学金の申請も視野に入れていると思います。申請タイミングが最も早いであろう『フルブライト』に応募する場合、7月末までに推薦状が3通必要になります。(募集要項は必ず公式ウェブサイトで最新情報をご確認ください。)

その場合、遅くとも6月前半には推薦者に依頼をして、7月頭には一次回答をもらうのが良いでしょう。

海外MBA留学に使える奨学金の情報についてはこちらにまとめています。ぜひ参考にしてください!

③どのように頼むかを決める (How)

推薦者に依頼をする際、まずどのようなことを書いてもらいたいのか、事前に打ち合わせをすると良いです。

以下の項目について、自分で事前に整理をしてから推薦者とすり合わせをしましょう。

  • レジュメやエッセイでどのようなことをアピールしているのか
  • 推薦状で書いてほしい内容と、具体的な事例・エピソードを伝える
  • 出願予定のスクールから求められている質問をカテゴリー別に整理して伝える
  • いつまでに書いてほしいのか、スケジュール感を伝える

各質問の回答には字数制限があります。日本語で依頼をする場合、下記を参考にして日本語で書いてもらう文字数の目安も伝えておきましょう。

  • 英語のword count: 50 words ⇒ 日本語で100字程度
  • 英語のword count: 500 words ⇒ 日本語で1000字程度

私は上司とランチミーティングの時間を取ってもらい、一緒にお昼を食べながら上記の項目を説明して、推薦状の方向性をすり合わせしました。

推薦状の作成プロセス

推薦状の作成プロセス

上記で説明したプロセスで推薦状をお願いする準備ができたら、実際に推薦状を作成していきます。ここでは、多くの人がお願いするパターンであろう、『日本人の上司に日本語で推薦状を書いてもらう』場合の作成プロセスを解説します。

① 推薦者に日本語で推薦状を書いてもらう
② コンサルタントに添削してもらう
③ 翻訳サービスを使って英語翻訳をかける

順に説明していきます。

①推薦者に日本語で推薦状を書いてもらう

推薦者と事前に打ち合わせを持った後、日本語で推薦状を書いてもらいましょう。もちろん、推薦者が英語の推薦状に抵抗がなければ、英語で書いてもらうに越したことはないです。

しかしながら多くの場合、お願いする上司は英語で推薦状を書いた経験はないはずです。

日本語でお願いする場合の文字数は上述の通り、英語でword countが500 wordsであれば、日本語は倍の1000字を目安に書いてもらうと、翻訳したときにちょうど良いくらいの文字数になります。

②コンサルタントに添削してもらう

エッセイのカウンセラーを利用している方は、推薦状も同様に添削をしてくれるので見てもらいましょう。

日本人のカウンセラーであれば日本語のもの、外国人のカウンセラーであれば、下記ステップ③の翻訳をかけた後に見てもらいます。私はAGOSで日本人のカウンセラーに日本語のものを添削してもらい、エッセイとの整合性をチェックしてもらいました。こういうときに日本人のカウンセラーはありがたかったです。

自分で添削する場合は、エッセイでアピールしていることと整合性が取れているかを中心にチェックしましょう。

③翻訳サービスを使って英語翻訳をかける

推薦状の内容が固まったら、日本語から英語に翻訳をかけます。『Gengo』というオンラインの翻訳サービスがおすすめです。(プロのMBAカウンセラーの方に教えて頂きました。)ビジネス用の文章であれば、1文字あたり¥9で翻訳できます。一般的な推薦状は日本語で1000文字+α程度なので、1通あたり1万円程度で翻訳できると思います。

翻訳にかかる時間は3日を見ておけば十分ですが、私が利用した際は日本時間の夜に翻訳依頼を出し、翌日の朝には既に2通とも翻訳が完了していました。(驚きの速さです!)

【カウンセラーお墨付き】私の推薦状を公開

推薦状を書くことに慣れていない人に依頼する場合、『書き方のイメージ』や『具体例の入れ込み方』を知ってもらうために、私の推薦状を公開しますので参考にして下さい。

合わせて、日本語と英語の文字数のボリューム感も見て頂ければと思います。

推薦状公開

【Question1】Please provide a brief description of your interaction with the applicant and, if applicable, the applicant’s role in your organization. (50 words)

(日本語)
直属の上司として●●さんの日々の業務監督している。●●さんにはS&OPプロジェクトの海外販社導入チームリーダーとして中国・アジア地域を担当頂き、10名規模のチームのタスクアサインメント及び業務改革とIT導入をリード頂いた。(106文字)

(英語)
As Mr. ●●’s direct supervisor I oversee his day-to-day operations. He is a team leader of S&OP projects in charge of onboarding overseas distributors in China/the Asian region and has taken the lead on task assignment for a team of 10 people as well as business reform and IT adoption. (50 words)

【Question2】How does the applicant’s performance compare to that of other well-qualified individuals in similar roles? Please provide specific examples. (500 words)

(日本語)
●●さんと別のチームリーダーと比較した場合、ナレッジやスキルはもとより、「コミュニケーションを重視したリーダーシップスタイル」と「本質を見極めて問題解決に導く点」の2つの点において圧倒的に優れている。

まず「コミュニケーションを重視したリーダーシップスタイル」を発揮しながら、メンバーを鼓舞してプロジェクトを推進した実績があるが、そのスタイルは相手をリラックスさせて話をさせる「聞き上手」と言える。特に台湾では、プロジェクトのキーとなる台湾のチームリーダーが、システム導入によってチームの業務負荷がさらに増大することを懸念していた。
●●さんは、粘り強くあらゆるコミュニケーション手段を取りながら、彼の懸念の本質がどこにあるのかを、持ち前のコミュニケーション力を発揮して突き止めていった。その結果、台湾チームはオペレーションに関するレポートを全てマニュアルで作成しており、作業に膨大な時間を要していることが明らかとなった。●●さんは、システムにレポートの自動作成を盛り込むことによって、見事台湾チームをリードして解決へと導いた。

次に「本質を見極めて問題解決に導く点」については、上述の「コミュニケーションを重視したリーダーシップスタイル」とこれまでの海外駐在を含む業務経験や知識を活用して問題を解決した。例として、韓国はプロジェクト推進国で最も課題が多く、現地からのクレームも多かったが、●●さんは粘り強く、問題の本質を見抜いて解決に導いた。ここでは●●さんの経営感覚が生きた。彼は韓国のビジネス動向を社内ネットワークを使って理解していたので、●●さんのほうから経営面からのアプローチで進めたいという提案があった。この仮説をもとに、韓国駐在経験者に個別にインタビューをし、経営方針の転換を理解することから始めた。
彼の予想通り、やはり経営問題が、システム導入にも大きな影響を与えていることが分かった。韓国の本質的課題は、「①プレステージからマスステージ領域への大きな戦略転換」、「②それに伴う人材不足」、「③新たな業務プロセスとIT導入時の業務負荷に対する不信感」の3点だった。この経営課題をシステム担当者に回答を求めるのではなく、トップマネジメントへの提案が必要であると根拠づけ、●●さんみずから、韓国の社長への説得を試みた。韓国のチームリーダーと協力し具体的な提案内容をつくることと、韓国メンバーからの主張であること、この2つの材料を戦略的に準備したことで交渉を成功させた。(1035文字)

(英語)
In addition to his knowledge and skills, Mr. ●● is overwhelmingly superior to other team leaders in two aspects: a leadership style that emphasizes communication and an approach to problem solving that gets to the true heart of the matter.

First, to demonstrate Mr. ●●’s leadership style emphasizing communication, he has a proven track record of driving projects forward by inspiring his colleagues. Mr. ●● is able to help his colleagues to relax and talk by being a good listener. Particularly in Taiwan, a Taiwanese team leader, who was a key member of the project, was concerned that the team’s workload would increase further with the adoption of a new system.
Mr. ●●, through persistence in all means of communication, used his natural communication ability to ascertain the essence of the team leader’s concerns. As a result, it became clear that the Taiwan team had been creating all of their operation-related reports manually, which required a huge amount of time. Mr. ●● helped the commendable Taiwanese team to solve the problem by incorporating automatic report generation into the system.

Next, with regard to Mr. ●●’s approach to problem solving, he has utilized the above-mentioned leadership style emphasizing communication as well as his work experience and knowledge, including experience living overseas, to resolve problems. For example, among the project-promoting countries, South Korea had the most challenges and there were numerous complaints from the area, but Mr. ●● tenaciously led the way to a solution by seeing through to the essence of the problem. Here ●●’s management sense came alive. Because he had used the company network to understand business trends in South Korea, Mr. ●● proposed proceeding with an approach based on a management perspective. Based on this hypothesis, he began by individually interviewing experienced individuals in South Korea and understanding changes in management policies.
As he predicted, Mr. ●● found that management problems also have a big influence on system adoption. The 3 essential challenges in South Korea were: (1) a large change in strategy from a prestige to a masstige area; (2) a shortage of human resources to go along with this change; and (3) distrust of new business processes and unease regarding the workload associated with IT adoption. Rather than asking system personnel to answer these management problems, based on the fact that a proposal to top management was necessary, Mr. ●● himself made an effort to persuade the company president in South Korea. His negotiations were successful thanks to the strategic preparation of 2 elements: the creation of a concrete proposal through cooperation with South Korean team leaders and support from South Korean members. (437 words)

ちなみに手前味噌になりますが、私のエッセイと推薦状だけで評価するなら、HBSでもWhartonでも受かるよ、とカウンセラーからお墨付きをもらいました。

MBA専門カウンセラーの評価ですので、それなりのクオリティはあるのかなと思います。エッセイについては以下の記事をご確認ください。

まとめ:推薦状の準備プロセス

推薦状準備の具体的なプロセスを解説してきました。

改めて準備のプロセスをまとめると、以下になります。

① 誰に頼むかを決める(Who)
② いつ頼むかを決める(When)
③ どのように頼むかを決める(How)

そして、日本人の上司に日本語で頼む場合は、以下のプロセスで作成しましょう。

① 推薦者に日本語で推薦状を書いてもらう
② コンサルタントに添削してもらう
③ 翻訳サービスを使って英語翻訳をかける

この記事が少しでも受験生のお役に立てることを願っております。

推薦状の準備プロセスが理解出来たら、次は推薦状の書き方ガイドとテンプレートを以下の記事でご確認ください!

推薦状が用意出来たら、次はいよいよインタビューの準備をしましょう!MBA受験のインタビュー対策については以下の記事をご参照ください!

MBA留学:インタビューで聞かれる典型的10の質問と準備プロセス

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