海外MBAスクールの出願を控えているみなさん、下記のような悩みを持っていませんか?
- 海外MBAスクール出願に必要な推薦状、上司に頼めるか心配。。。
- 推薦状を書く際、どんなところに気をつければいいのかを知りたい
- 推薦状を書いたことがない人にお願いするので、推薦状のテンプレートを知りたい
この記事では、推薦状を書く際のポイントを解説するだけでなく、推薦状の書き方ガイド、およびテンプレートを紹介します!
私が推薦状を準備した経験とMBAカウンセラーからのアドバイスをもとに解説しているのでぜひ参考にして下さい!
そもそも推薦状とは?
欧米ビジネススクールの入学審査において、出願者はテストスコア(TOEFL, GMAT)の他にエッセイ、レジュメ、推薦状などの書類を総合的に見て評価されます。
この出願書類のうち、推薦状の役割は『Credibility(信憑性)』を評価することです。エッセイやレジュメに記載されている内容と整合性が取れているかどうかだけでなく、推薦者が出願者との間に共有している、出願者の資質を実証するエピソードも含めて評価の対象になります。
MBA推薦状は欧米でどのくらい重要?
日本ではあまり馴染みがないかもしれませんが、欧米はネットワーク社会であり、ビジネスでも個人の『ネットワーキング力』はスキルの1つとして重要視されています。つまり、『第三者』から見てどうなのかという点も選考材料の一部とされます。
また、欧米では皆、エッセイやレジュメで『自分はこれだけ成果を出しました』と自己アピールをするのが非常にうまいです。したがってアドミッション(入学審査官)側としては客観的視点で評価をする必要があります。
以上の背景から、推薦状ではレジュメやエッセイと整合性が取れているという『Authenticity(信頼性)』、およびエピソードの『具体性』が最重要となります。
日本人MBA生の推薦状準備の現状と事前打ち合わせ
日本社会では『海外MBA経験者』である場合を除き、上司が上記の欧米ビジネススクールの背景を理解している可能性は低いです。したがって推薦状を依頼する場合は『事前の打ち合わせ』を持ち、推薦状に書いてもらう内容を十分にすり合わせることが重要になります。
推薦状準備の具体的なプロセスについては以下の記事をご参照ください。
推薦状は通常2通必要となるため、1人は直属の上司、もう一人は元上司や自分のことをよく知る先輩などに依頼すると良いでしょう。私の場合、以下のポイントをA4用紙1枚に書き出し、事前打ち合わせの際に上司とさらにその上の上司に渡して説明をしました。
推薦状の書き方ガイド
ここからは具体的に推薦状の書き方を解説します。応募するビジネススクールによって推薦状の質問数や問われる内容は変わりますが、おおむね以下のことを求められます。(志望校の推薦状の質問は、必ず各スクールのサイトで上司との打ち合わせ前に確認しましょう)
① 推薦者と応募者との関係性
② 応募者の強み(同僚と比べ優れている点)
③ 応募者の成長課題(今後伸ばしていくべき所)
④ その他事項(応募者の成長エリアと、スクールカリキュラムとのフィット感など)
したがって、推薦状は具体的なエピソードを盛り込んだ以下の段落構成が良いとされます。
① 私と出願者との関係は●●で、これまでにどう接してきた(だから推薦の資格があります)
② 出願者は▲▲業務・プロジェクトに取り組み、こういう成果を上げてきた。こういう長所がある
③ 一方で、出願者は■■の点で成長課題があり、その点を伸ばしていくと更に成長できるだろう
④ そのためには、〇〇〇分野で強みのある御校のMBAが最適である
上記のロジックに沿うように推薦状を書いてもらうと、非常に印象深いものになります。注意点としては、
- なるべく具体的なエピソードを盛り込む(推薦者が自分の日常業務を知っている必要がある)
- エッセイで書いた自分のアピールポイントと整合性が取れる内容にする
- 2人の上司に書いてもらう場合、内容が被らないようにする
上記に気を付けて推薦状を依頼しましょう。
MBA推薦状のテンプレートを紹介
日本では、推薦状を書くことに慣れていない人に依頼する場合が多いと思います。よって、『推薦状の論理構造』や『具体なエピソードの入れ込み方』を知ってもらうため、推薦状のテンプレートを公開します。上記で解説した4段落構成にしていますので、推薦者に依頼する際の参考にして下さい。
MBA推薦状テンプレート公開(日本語版)
① 推薦者と応募者との関係性
私が責任者を務める部門で、〇〇さんは海外サプライチェーンの改革を推進するプロジェクトのリーダーとして、主に新規プロセスの設計、導入を担当しています。私に毎月数回プロジェクト報告を頂き、その度にディスカッションを重ねてきました。
② 応募者の強み(同僚と比べ優れている点)
〇〇さんの強みは、大きく三つあると考えます。一つ目は卓越したコミュニケーション能力で、困難な状況の中でも人を動かす力を身に付けています。〇〇さんが参画したグローバルProject では、海外販社の品切れと偏在の低減を目的に、新規業務およびシステムを海外諸国の前線へ導入してきました。特に台湾では、業務プロセスの変更が、現場社員の業務負荷増大への懸念を招き、スタックする局面もありました。〇〇さんは、台湾メンバーが当時マニュアルで作成していたレポートをシステムで自動化することで、業務削減を提案しました。相手を説得できたのは、台湾メンバーと最終ゴールを共有することでチームのモチベーションを高めた結果だと言えます。
(中略)
③ 応募者の成長課題(今後伸ばしていくべき所)
〇〇さんがアサインされたグローバルプロジェクトは、グローバルかつ社内外から多数の参画者が関わっており、これまでで最大規模のものです。(中略)そのような状況の中、コンサルタントからは明らかに■■の理解が不足した提案を受けましたが、〇〇さんは彼らの意見を尊重しすぎていました。
私はそのとき彼にしたアドバイスは、「外部コンサルタントと協業を要する場合は、業者が作成する資料やスケジュール、報告内容の質まで監修し責任を持つ」ということです。(中略)
私のアドバイス後、〇〇さんは本当のチームワークとは何を重視すべきかを考え、行動を改めました。(中略)〇〇さんはこの経験を通して、チームを構成するメンバーがどんな立場の人であっても、相手の考え方の背景を理解し、チームを円滑に進められるリーダーを目指すことを決意しました。
④ 応募者の成長エリアと、スクールカリキュラムとのフィット感など
〇〇さんは主にサプライチェーン領域の実務、Project管理を中心にこれまで実績を積み、成果を出してきました。次のキャリアステップとして、経営学修士を取得する計画を多いに支持しますし、御校のクロスファンクショナルなメンバーで取り組むチームプロジェクトは、今後彼のプロフェッショナルスキルを伸ばす絶好の機会だと確信しています。(以下略)
MBA推薦状テンプレート公開(英語版)
① 推薦者と応募者との関係性
In the department I supervise, Mr. 〇〇 serves as a leader for foreign supply chain reform projects, with a focus on the planning and introduction of new processes. He provides me with project updates several times a month, and always pairs these with discussion.
② 応募者の強み(同僚と比べ優れている点)
I consider Mr. 〇〇 to have three principal strengths. The first is his excellent communication ability. Even in challenging situations, he has the ability to move people to action. Mr. 〇〇 participated in one global project that had the goal of minimizing a foreign supplier’s instances of uneven distribution and stock shortages; this involved introducing new businesses and systems to the front line of foreign countries. In Taiwan, local employees expressed apprehension around the increased workload associated with changes to business processes, and there were some situations involving stacking. Mr. 〇〇 suggested that reports – which were being created manually by Taiwanese employees – be automated within the system in order to reduce the workload. I believe that he was able to increase the team’s motivation by expressing a shared final goal with the Taiwanese members, which in turn allowed him to influence the team.
③ 応募者の成長課題(今後伸ばしていくべき所)
The global project to which Mr. 〇〇 was assigned was not only global in scale but also involved multiple stakeholders from both inside and outside the company, making it the largest project we had undertaken. In the midst of this, we received a suggestion, clearly lacked an understanding of ■■, and yet Mr. 〇〇 placed too high of a regard on this suggestion.
At that time, I gave him this advice: “when cooperating with external consultants, you must take responsibility to oversee the quality of everything produced by the vendor, including resources, schedules, and the content of reports.”
After receiving my advice, Mr. 〇〇 considered what to focus on in order to achieve true teamwork, and reevaluated his actions. Through this experience, Mr. 〇〇 aimed to be a leader who is able to always understand the circumstances and background of all members of his team, and can lead them harmoniously.
④ 応募者の成長エリアと、スクールカリキュラムとのフィット感など
Mr. 〇〇 has primarily worked on managing projects within the supply chain field, producing real results and outcomes. I strongly support his effort to obtain an MBA as his next career step, and I believe that △△’s group projects working with cross-functional members will be a perfect opportunity for him to further develop his professional skills for the future.
まとめ:MBA推薦状の書き方ガイドとテンプレートを紹介!
推薦状の書き方ガイドおよびテンプレートを解説してきましたが、いかがでしたでしょうか?
改めて推薦状で問われるポイントをまとめると以下になります。
① 推薦者と応募者との関係性
② 応募者の強み(同僚と比べ優れている点)
③ 応募者の成長課題(今後伸ばしていくべき所)
④ その他事項(応募者の成長エリアと、スクールカリキュラムとのフィット感など)
そして、この質問に対応して『推薦状を書く上でのポイント』と、基本的な『段落構成』をまとめると以下になります。
① 私と出願者との関係は●●で、これまでにどう接してきた(だから推薦の資格があります)
② 出願者は▲▲業務・プロジェクトに取り組み、こういう成果を上げてきた。こういう長所がある
③ 一方で、出願者は■■の点で成長課題があり、その点を伸ばしていくと更に成長できるだろう
④ そのためには、〇〇〇分野で強みのある御校のMBAが最適である
この記事が少しでも受験生のお役に立てることを願っております。
推薦状含めた出願書類の準備ができたら、次はいよいよインタビュー対策をしましょう!以下の2記事をぜひ参考にしてみて下さい!
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