アメリカにおけるネガティブフィードバックの伝え方 – MBAスクールの実態は?

ネガティブフィードバック 海外MBA

みなさんはこれまでに『ネガティブフィードバック』を受けたことはありますでしょうか?

それはどんな場面で、どのように伝えられましたか?

アメリカのビジネススクールでは、様々な場面でフィードバックを受ける機会があります。
ポジティブなもの、ネガティブなもの含めてです。

私は2年間のMBA生活を通して、アメリカの『ネガティブフィードバック』の伝え方には『暗黙のルール』があることを学びました。

今回は、仕事や教育の場では必須である『ネガティブフィードバック』に焦点を当てて書いてみます。

これからMBA留学に来られる方、海外就職を狙っている方は気分転換に読んで頂ければ幸いです。

フィードバックの効果

フィードバック

最初にフィードバックにはどのような効果があるのかを見ていきましょう。

フィードバック全般

まずは職場における『フィードバック全般』について考えます。

一般的に従業員は、上司から何もフィードバックが得られない場合、『自分の仕事は重要ではない』と感じてしまいます。

結果、仕事に対するエンゲージメントも低下していきます。

実際、Globoforce の調査によると『65%の従業員はフィードバックを今より多く望んでいる』というデータが得られています。

また、96% の従業員は定期的なフィードバックは良いことと捉えており、83%の従業員はポジティブ、ネガティブに関わらずフィードバック自体を評価しています。

つまり、部下はフィードバックを欲しているのです!

ネガティブフィードバックの効果

次にネガティブフィードバックがもたらす効果を見ていきましょう。
アメリカの世論調査会社のGallupが興味深いデータを発表しています。

ネガティブフィードバックを受けた従業員は、フィードバックをまったく受けていない従業員と比較して仕事に対するエンゲージメントが20倍高い、というものです。

さらにポイントとなるのは以下のデータです。

フィードバックが伝えられた従業員のうち、94%は以下のように答えています。

ネガティブフィードバックは『適切に伝えられた場合にのみ』、自分の仕事のパフォーマンス向上に役立った。

この事実が示すのは、ネガティブフィードバックは『伝え方』さえ適切であれば、業務改善につながるということです。

私の実体験(起業のクラスで受けたフィードバック)

ここでは私がMBA在学中、アメリカ人からフィードバックを受けた経験を紹介します。

アメリカはフィードバック大国

アメリカではフィードバックに非常に重きを置く文化があります。

フィードバックの量だけでなく、その内容もかなり重要です。

具体的で適切なフィードバックができなければ、コミュニケーション能力が低い人、と見なされかねません。

実際、MBAの起業の授業だけでも。私はたくさんの具体的で良質なフィードバックを受けました。

例えばスタートアップのビジネスピッチをした際、

  • なぜこの問題に取り組むのか?なぜ今やるのか?(トレンドを踏まえて)
  • なぜあなたがやるのか?(自分とチームのアセットは?)
  • なぜこの製品(ソリューション)なのか?(技術優位性? IP?)
  • 社会に何を還元できるか?(ソーシャルインパクト)
  • エレベーターピッチには数字を入れると効果的
  • 投資家はしばしば ”Red Flag” を見ようとする(投資をすべきでない理由を探す)

などなど、これらは受け取ったフィードバックのほんの一部です。

アメリカで “ネガティブフィードバック” は柔らかく伝えられる

以前の記事で、アメリカは最も『ローコンな国』と解説しました。
(詳細は ハイコン、ローコンとは? の記事を参照ください。)

ローコンとはローコンテクスト略称です。簡単に言うとローコンテクスト文化に所属している人々は『シンプルで、明快で、曖昧さがない』コミュニケーションの取り方をします。

これを踏まえると、アメリカでは『ネガティブフィードバック』も直接的にはっきりと伝えるのでは?と思います。

しかし、アメリカでは一般的に、ネガティブフィードバックは『ほのめかして』伝えられるか、もしくは『前向きな、励ましの言葉と一緒に』伝えられます。

アメリカ人との会話の際、最初にポジティブなことを言われ、付け加えるようにネガティブフィードバックをされた場合、『後者が伝えたい本音だ』と理解すると良いと思います笑。

余談ですが、面白いことにフランスはアメリカに比べると『ハイコン』文化ですが、ネガティブフィードバックは直接的に伝えられることが多いです。(私のフランス駐在時の経験より)

それでは次の項で、アメリカで良く使われる “ネガティブフィードバック” の伝え方を見ていきましょう。

効果的なネガティブフィードバックの伝え方

アメリカのMBA生活やインターン先でよく使われていた、代表的な ”ネガティブフィードバックを適切に伝える” テクニックを私の体験から3つ紹介します!

① 3-2-1 テクニック

最も良く使われる手法だと思います。

『1つ』ネガティブフィードバックを伝える際には、『3つ』ポジティブなことを一緒に伝えます。

“3 positive feedback to 1 negative statement” ということで、3-2-1テクニックと呼ばれています。

例えば、『私はあなたの資料の ①ココはとても良く分かるし、②表現もとても素敵だし、③素晴らしく良くまとまっていると思う。ただ、この部分だけはちょっとだけ変えるともっと良くなると思う。とにかく、私はあなたと一緒に働けてとても嬉しい!』みたいな感じですね笑。

② プラッシング(Plussing)

アカデミー賞を13回も受賞しているピクサー・アニメーションが考え出したとされるフィードバック手法が『プラッシング』です。

ルールは単純で、『何かを批判するときには必ず1つ建設的な提案を付け加えること』です。

この手法により、ピクサーはアニメーターのコラボレーションを促進し、数々の名作を生み出しました。

③ I like, I wish, I wonder

このテクニックも非常にシンプルです。

順番通り、フィードバックを3ステップで伝えればOKです。

Step1:I like(最初のステップでポジティブな面を伝える)
Step2:I wish(次に変えてもらいたいポイントをシェアする)
Step3:I wonder(最後に改善に向けた提案やアイデアをシェアする)

例としては、『この広告の全体の構成はすごくいいね!ここの段落に具体例を入れたら更に良くなると思うよ。例えばカスタマーレビューを入れるとより顧客の信頼度が増すんじゃないかな。』

という感じです。

是非コミュニケーションで参考にしてみてください。

ネガティブフィードバックの伝え方まとめ

今回は、アメリカでよく使われる『ネガティブフィードバック』を伝えるときの手法を紹介しました。

① 3-2-1 テクニック
② プラッシング
③ I like, I wish, I wonder

異文化コミュニケーション理解する上で、少しでも参考になれば幸いです!

当ブログでは海外MBA生活での学びを紹介しています。興味のある方は以下のMBA流ネゴシエーション(交渉術)に関する記事も目を通してみてください。

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