MBA留学を目指している方や、MBA後のキャリアについてご興味のある方、以下のような悩みをお持ちではないでしょうか?
- MBAで学べること・卒業後に仕事で役に立ったことについて知りたい
- MBAの学びが、卒業後のキャリアにどう活かせるのかを知りたい
- MBA卒業後、実際に働いている人の生の声が聞きたい
今回はMBA経験者であるSun(IEビジネススクールMBA @スペイン)とYusaku(UC San Diego MBA @アメリカ)が、8つのテーマに絞って上記の悩みについてお答えする座談会を企画しました!
この記事を読めば、『ハードスキル』と『ソフトスキル』の2つの視点から、MBAでの学びや、学んだことを卒業後どのように仕事やキャリアに活かしているかのイメージを持つことができます。
なぜなら、実際に欧米MBA卒業生2人が、実体験をもとに卒業後のリアルを対談しているからです。
それでは早速始めましょう!
統計・データ分析
まずはどこのMBAでも必修で扱う、統計とデータ分析(定量分析)の授業について対談します。
統計はMBAの必修科目
(Yusaku)統計は避けられない科目ですね。統計で学んだ基礎知識はマーケやオペレーション、ファイナンスなど、様々な科目に応用で使います。MBAを学ぶのであれば逃げられない科目ですね笑。
(Sun)そうですね。様々な分野に応用できる分野なので、しっかり学んでおくと実際の仕事にも役立ちますね。
(Yusaku)はい。私は事業会社なので、特にデジタルマーケティングでスキルが活かせました。例えば、RFM分析(Recency, Frequency, Monetary)というデータ分析手法があります。顧客の『購買時期』、『購買頻度』、『購買額』の3つの情報から購買確率を予測することができるというもので、データ分析手法の中でも最も基本的なものです。
これらの3つのデータさえあれば、どの顧客に広告を打つと利益が最大化できるかが数字で出せます。事業会社のマーケでここまでできる人って実は少ないので、まさに即戦力のスキルですよね。特にこれからEコマースで重要な分析手法が理解できたのは大きいと思います。
(Sun)いいですね。私はデータを収集して、それをどのように分析して活用するのかという一連の分析の流れが分かったので、データを実際のプロジェクトに活かすための基礎知識がつきました。
(Yusaku)データ分析手法を知り、その道の専門家と話しができるっていうのは、マネジメントには必須のスキルですよね。そのためにはやはり統計の基礎は文系理系関係なく必要だと確信しています。
統計は応用範囲が広い
(Yusaku)他に現在仕事でも役に立っているのは、Supply Chain のデータアナリティクスですね。エクセルでソルバーを使ったモデリングや、コスト最適化、輸送ルート最適化など、ざっくりシミュレーションしたいときに授業で得たスキルがすぐに使えるので助かっています。
(Sun)そうですね。他にも色々な職種でも使えそうですよね。私はプライシングストラテジーの授業で、統計の考え方を使いました。マーケ職の人には特に有効なスキルですよね。
オペレーション
(Yusaku)私は本職で営業3年、サプライチェーン9年の実務経験があるので、実はオペレーションが一番経験が長いんです。これまで実務という形でオペレーションに携わっていたのですが、体系立てて基礎理論やフレームワークを学ぶ機会はありませんでした。そういう意味で、理論に裏打ちされた意思決定ができるようになったのは大きいですね。Little’s Lawの考え方や、最適な発注点、バッチサイズ、安全在庫の計算など、専門性が強化されました。
(Sun)私は普段の仕事では使わなかったのですが、オペレーションの部署の人がどういうことを意識して活動しているかが分かるようになりました。必須課題で読んだ『The Goal』という本がオペレーションの全てを網羅していて、分かりやすかったです。これはオススメです。オペレーションに不安があるひとはぜひ読んでほしい。
(Yusaku)そうですね。『The Goal』はおそらくMBAのオペレーションの授業で必ず読むことになるのではないでしょうか。私は仕事でも The Goal の勉強会があったので、基本的な考え方を理解して授業に望めたのが良かったです。オペレーションに携わる人、MBA卒業後オペレーションにキャリアチェンジしたい人は必読書ですね。
The Goal
概要を短時間で掴みたい人にはコミック版もおすすめです。
オペレーションを学び、コンサルティングに繋げる
(Yusaku)私はオペレーションの選択授業もいくつか取ったのですが、調達や購買(サプライ)の意思決定をするときのフレームワーク、戦略、コストマネジメントの手法を実践形式で理解できたのが良かったです。
コンサルティング会社の社長が授業を教えてくれるので、実際にコンサルで使われているフレームワークや考え方を理解できました。さらに、教授のネットワークでサンディエゴの企業が抱えている問題を扱い、コンサルプロジェクトに参画することができるので、クラスで学んだことを即実践する機会があったのはありがたいですね。実際に私は UC San Diegoの購買部で紙類の調達において、3,000万円のコスト削減まで持っていくことができました。これは自信になりますね。
マーケティング
(Yusaku)私は個人的に、マーケティングの授業(必修)が一番つかみどころがなく難しかった印象ですね。それはなぜか?と改めて考えてみたのですが、必修で扱ったマーケティングのケースは『意思決定に必要な数字や・定量的なデータ』が少ないです。その代わり、業界や市場の特性、時代背景などを考慮しながら意思決定するセンスが必要だったため、難しく感じられたのだと思います。これはマーケの実務経験がある人が有利なところでしょうね。
マーケティングは日頃から課題意識を持つことが重要
(Sun)そうですね。私も同様の印象です。後半の選択授業でデジタルマーケをやることで理解が鮮明になりました。なぜなら、LTVとコストを比較するというフレームワークを実際のプロジェクトで学べたからですね。これからマーケの専門性を高めたい人は、実践経験を積んでおくと良いと思います。授業ではマーケ畑の人は喜々としてやっていた印象です。マーケこそ、自分で日頃から疑問や課題意識を持って自ら学ぶ癖をつけておくべきでしょうね。
(Yusaku)その通りですね。私もデジタルマーケの授業の方がクリアでした。定量データを使って利益とコストのシミュレーションをするというフレームワークは、まさにデジタル領域の実務でも役立ちますね。
私は個人のブログ&Twitterでアウトプットをするようになってから、仮説ベースで日頃から思考を深める習慣ができてきたと感じています。
(Sun)まさにブログ、SNS運用は、マーケの授業で扱うペルソナ、ブランディングなど、マーケティングの実践力が鍛えられますよね。
プレゼンテーション
(Yusaku)これはまさにMBAならではの授業だと思います。私の通っていたUC San Diegoでは、『人に伝わるプレゼンテーション』をするにはどうするべきか、という必修が演習形式でありました。主なステップは以下でしたね。
① プレゼンしたあとの達成したいことを定義
② 聴衆(Audience)は誰かを定義
③ Audienceと一緒に達成したいことを伝える(自分が提示できるValueを示す)
プレゼンで相手にメッセージをしっかり伝え、聴衆を説得する、もしくは行動を起こさせるにはこの3つが重要ということを学びました。
(Sun)私も学んだことは同様ですね。プレゼンの目的は、『Call to Action』(物を売る、お店に来てもらう、Webサイトに来てもらうなど)が基本。『ポイントA(顧客の現在の状態)』から『ポイントB(顧客の未来の望ましい状態)』までを橋渡しするのがプレゼンということを学びました。テクニックとして型が身に付いたのが良かったですね。
実際の授業では、4週間の期間でプレゼンのビデオを毎週作りました。同じプレゼンなのだけど、何回もやるとうまくなっていくのが自分でも実感できましたね。クラスメイトのプレゼンを見ても、明らかに上達しているのが分かりました。
MBA流プレゼンは『学ぶ』→『実践する』を繰り返すことで上達する
(Yusaku)私が受けた授業の流れも同様でしたね。最初の授業で即興プレゼンをおこない、5回に渡る授業の中で、毎回1つのテーマにフォーカスして学びます。学んだらすぐに演習を繰り返す。
例えば、一回目の授業では『いかにプレゼンの最初の60秒を制するか?』をテーマに学びます。そこでは以下の3つの質問に答えることが重要です。
① Who are you?
② Who is the audience?
③ What do you accomplish together?
これら3つの問いに対する答えを明確に提示することができれば、最初の60秒で聴衆の興味をグッと惹きつけることができる、というわけです。こうした授業を5回受けて演習を繰り返すうちに、良いプレゼンをするためのツールと経験が蓄積されていきます。結果、私自身、授業の最初と最後では『同じプレゼンが格段に良くなっている』という体験することができました。
プレゼンは後天的に伸ばせるスキル
(Sun)とても興味深いですね。私の受けた授業で面白かったのは、プレゼンが苦手な人、と教授が聞いた時にクラスメイト全員が手を挙げていました。欧米人はとにかくよくしゃべる、自己主張するという印象でしたが、プレゼンは自己主張とは違うのだなと思いました。プレゼンはスキルであり、自己主張することとは違う。
(Yusaku)その通りですね。私も欧米人はプレゼンがもともとうまいと思っていましたが、本人たちは実は日本人と同じく『苦手意識』を持っているんですよね。彼らがすごいのは、プレゼンはスキル、つまり学んで後天的に伸ばせるものだと理解し、日々努力していることですね。
(Yusaku)もう一つ、私の受けた授業で面白かったのは、教授がテアートル(舞台芸術)の監督だったんです。舞台でどう観衆に演技を伝えるか、というアートの面からの知見も加えて授業を進めてくれました。生徒がプレゼンをしたあとのフィードバックがとても的確で、お芝居をしている役者に対するアドバイスのように感情もこもっていて、とても参考になりました。まさにプレゼンは『舞台で主人公を演じる役者』になったつもりでやるということが、身をもって理解できましたね。
おわりに:MBAで学んだ知識は仕事で役に立つのか?
ここまで『統計・データ分析』、『オペレーション』、『マーケティング』、『プレゼンテーション』の4つの観点で、MBAスクールでの学びや卒業後に活かせることについて対談してきました。もちろん個人差や目的の違いもあるかと思いますが、2人のMBA生がそれぞれの立場で実際に体感していることなので、ぜひ『生の声』として参考にして頂ければと思います。
さて、8つのテーマの残り4つ、『ストラテジー』、『ファイナンス』、『アカウンティング』、『リーダーシップ』については、Sunのブログで紹介していますので、ぜひ以下の記事に目を通してみて下さい!
MBAで学んだ知識は仕事で役に立つのか?~卒業後のリアルを語ります – Sun編
この記事を読んでMBAに興味を持たれた方は、以下の記事も参考にしてみてくださいね。
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