【MBA対談】欧米ビジネススクールの起業プログラムの内容を紹介!

海外MBA

MBA留学を目指している方や、将来グローバルにキャリアを築きたいと思っている方、以下のような悩みをお持ちではないでしょうか?

  • MBAスクールの起業プログラムの内容を知りたい
  • 起業アイデアから実際に起業に至るまでのプロセスを知りたい
  • 将来もしくはMBA在学中に起業したいので、起業プログラムの体験談を聞きたい

今回は座談会企画の第2弾として、MBA経験者であるSun(IEビジネススクールMBA @スペイン)Yusaku(UC San Diego MBA @アメリカ)が、上記の悩みについてお答えします!

この記事を読めば、MBAスクールで教えられる起業プログラムおよび授業内容が理解でき、起業に至るまでのプロセスが明確になります。なぜなら、実際にアントレに強いMBAスクールランキング上位2校の経験者が、海外ビジネススクールの起業プログラムで学んだ体験を解説しているからです。

是非、本場のアントレプレナーシップが学べるビジネススクールの生きた情報を活かしてください!

起業のアイデア出しから、実行に至るまでの全10 STEPのうち、今回は後半(STEP 6~10)についてYusakuが紹介していきます。前半のSTEP 1~5については以下のSunのブログで紹介しています!

前半(STEP 1~5)のSunの記事はこちら

STEP 6: MVP

ビジネスアイデア、顧客インタビュー、チーム、製品のブランドコンセプト等ができたらMVP(Minimum Viable Product) を作ります。MVPとは、製品を提供する上で『必要最小限の機能のみをもつ、もっともシンプルな製品』です。

(Yusaku)MVPを作る目的は主に以下ですね。

① ユーザーが本当に必要としているものかを確認する
② アイデアベースで議論してきたものを、具体化する(技術的に可能か?)
③ 実際に製品を作るコストを確認する(金銭的に可能か?)

(Sun)特に①は重要ですね。『誰も必要としないものを作ってしまう』というスタートアップに最もありがちな失敗を、MVPを作って顧客と会話することで早めに気づくことができます。

(Yusaku)本当にそうですね。その為に早くコンセプトを形にして、まずローンチすることが重要ですね。

(Sun)私たちはそれぞれ場所もスクールも違いますけど、このMVPに関する基本やポイントについては同じことを学んでいますね。それだけ重要な項目なんだと思います。

(Yusaku)私はUC San Diegoの目玉授業『Lab to Market』で、友人が日本で立ち上げたスタートアップ(DeepFlow)をアメリカ市場へのビジネス拡大をしていたのですが、テック企業でB to B向けだったので、プロダクトが『流体のシミュレーション』なんですよね。言葉で説明してもとても分かりにくい。そこで、MVPとして『シミュレーションのデモ』ができると一気にイメージが伝わりやすくなるし、信頼度が増しますよね。

(Sun)そうですね。MVPの状態で『1円でも売り上げをあげる』ことも大切ですよね。家具の配送サービスをやっているスタートアップの例では、創業者が家具屋まで自分でトラックで乗り付け、お店に出入りするお客さまにその場で直接交渉して、家具を家まで運んでいたそうです。MVPだからと言って恐れずに、目的を見据えて行動することが大切ですね。

(Yusaku)その通りだと思います。ビジネススクール主催のインキュベータープログラム『StartR』で優勝できたのも、ビジュアルでシミュレーションを見せられるMVPがあったのと、売上が既に日本であったのが強かったんだと思います。売上があるということは、ユーザーがお金を払うだけの価値がある、という信頼になりますからね。

STEP 7: ユーザーテスト → プロダクト・マーケットフィット

MVPをローンチしたら、顧客と対話を繰り返し、『プロダクト・マーケットフィット』を目指していきます。

(Yusaku)Eコマースだとネットショップを作り、製品を顧客に売り始めるフェーズですね。基本的に製品リリース時に最も学びが起きることが重要ですね。

(Sun)私の場合、ビジネスが学べるシミュレーションゲームを作って、今まで合計100人程度に試してもらいましたが、最初の数人に試したときの学びと修正が最も重要でしたね。ゲームを成り立たせるためのパラメーターの設定が進みました。

(Yusaku)そうですよね。まさに、ユーザーテストする際に『何人に試すべきか』という話が授業であって、ユーザービリティテストであれば最初の3~5人が最重要というデータがあります。

ユーザーテスト人数

Source: Jakob Nielsen (2000)

ユーザービリティ研究の第一人者、JakobNielsenのデータによるとN=3で約70%、N=5で85%のUsability problemを発見できます。
初期は3~5人を目安にユーザーテスト→修正を繰り返していくことが大切ですね。

(Sun)ちなみにプロダクトマーケットフィット(PMF)が達成できたときってどういう状態?という質問を教授にしたら、『きたらわかる』ということでした笑。どういうことかというと、お客さんから注文がたくさん入ってきてオペレーションが回らなくなっている状態だそうです。

STEP 8: SEO、ソーシャルメディアの活用

ユーザーテストを繰り返してプロダクトを進化させると同時に、SEOやソーシャルメディアを使ってターゲットとなる顧客にリーチしていきます。

(Sun)SEO対策やSNSは無料なのでどんなビジネスでも取り組むべきですよね。ソーシャルメディアは顧客の誘導に対して有効ですし。

(Yusaku)そうですね。SEOについてはGoogle検索エンジンの仕組み、ロングテールキーワードの考え方の理解は必須ですね。私もやりながら徐々に詳しくなりました。

(Sun)私の場合、実際にFacebook広告を打った経験が勉強になりました。ECサイトの授業でサイトを作っている時に、商品は環境に配慮した木製のおもちゃを売っていたのですが、当初はアメリカとカナダをターゲットにしたところ、データから広告に興味を示したのは90%以上がカナダの女性ということが分かりました。

(Yusaku)SNS広告は詳細なターゲット設定ができたり、リーチした顧客の定量データが取れるのが利点ですよね。SNSって手軽なのであまり考えずに始めがちですけど、運用や広告を打つ前に『成功指標』『ターゲット』『コンテンツ』をしっかり決めてから動くことが重要ということも学びました。

STEP 9: ビジネスの最適化 & リターゲティング

このフェーズになってくると、顧客のフィードバックを活かしてより製品やサービスを改良したり、競合を分析したり、ターゲット顧客を変えたりして売上を伸ばしていくことにフォーカスしていきます。

(Yusaku)このフェーズでも重要なのは常に『顧客と話す』ことですね。下の図にもあるように、MVP(プロトタイプ)の後、製品を本リリースしてからが最も学びが深いということになります。

Talking to Human

Source: Talking to Humans(Giff Constable)

(Sun)そうですね。最初に顧客になってくれた人に意見を聴き、一緒に製品を良くしてもらうサポーターになってもらうことが重要だと思います。

(Yusaku)定量データ』と『定性データ』をうまく合わせて使っていきたいですよね。定量データからは、ユーザーが『何をしているのか?』は分かるのですが、『なぜこれをしているのか?』までは分からない。『Why?』を知るためには定性データが必要なんですよね。そこが顧客と直接話すことの一番のメリットですね。

(Sun)私の場合、『リターゲティング』もやりました。ファイナンスゲームの例では、最初はMBA生を対象にしていたのですが、どちらかというとビジネスマンやMBAを検討されているから支持されていたことが分かりました。多くのビジネスの場合、最初にリーチする顧客候補の絶対数が足りてないことが多いので、露出は意識的に増やすべきだと思いますね。

(Yusaku)同感ですね。私も友人のスタートアップをアメリカ市場に拡大する際、製品が技術的に優れていることは分かっていました。ただ、最初は露出が必要なんですよね。なので、私は通っていたビジネススクールのインキュベータープログラム『StartR』や、サンディエゴで行われているピッチコンテストに手あたり次第応募してプレゼンしていましたね。結果、プレゼン武者修行中にUSDのメンターに声を掛けてもらえたり、『StartR』で運良く優勝できて、もっと大きなインキュベータープログラムに紹介してもらえたり、動いていると何かしら人に恵まれましたね。

STEP 10: 起業プログラムの振り返りと学び

(Yusaku)一番の学びは、ひと通りアイデア出しからマーケットインまでの流れを体験することで、起業についてのハードルが自分の中でとても下がったということですね。プロセスの中で起業家・投資家と話す機会も多く、事業を進めていく中でIPOまでをにらんでどう戦略を立てていくかなど、起業に対するマインドセットができました。

(Sun)本当にそうですね。ビジネススクールだと周りにも同じように起業に取り組んでいる仲間がたくさんいて、同じように悩んだりしてみんな楽しみながらやっている。人生の選択肢の中で、就職や転職と同じような位置づけで『起業』がある、という感じでハードルが下がりました。

(Yusaku)ピッチに慣れたのもメリットの一つでしたね。San Diego Angel Conferenceという300社くらいスタートアップが集まる割と大きなビジネスコンテストに出たんですけど、12社に絞られるセミファイナルまで進んで。そこまで行くと、投資家に『特許戦略はどうするの?』『Exitはいつ頃を目指すの?』など本気で突っ込まれて脇汗だったのですが笑、良い経験ですね。

(Sun)投資家向けのプレゼンの機会は貴重ですよね。様々なビジネスを見てきている経験から活きたフィードバックをもらえるし。ビジネスの要所を抑える質問をよく知っていますよね。つっこまれる質問がビジネスにとって一番大切だったと思います。

欧米ビジネススクールの起業プログラムまとめ

アントレに強い欧米ビジネススクールの経験者が、起業プログラムの内容と体験談を紹介してきました。アントレに興味のある方、MBA期間中に起業を目指されている方はぜひ参考にしてみて下さい。

各スクールの起業プログラムについてより詳細を知りたい方は、Sun(IEビジネススクールMBA @スペイン)Yusaku(UC San Diego MBA @アメリカ)までお気軽にDMでご連絡下さい!

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